まず、原田知世の魅力と可愛らしさに目を奪われる
4月10日に大林宣彦監督がご逝去されました。今日は午後、日本テレビで故大林監督の『時をかける少女』が放映されていました。大林監督といえば、尾道(おのみち)三部作ですね。『転校生』『時をかける少女』『さびしんぼう』、どれも40年ほど前に製作された映画にもかかわらず、今観ても新鮮で、色あせていません。
さて、早速、映画を見ての感想ですが…
主役を演じる原田知世が、本当にピュアで、透明感あふれていて、かわいらしいのです。
声もしぐさも、表情も、現代の若い人たちにない素朴な魅力にあふれ、本当に、今に無い美しさがありました。
ピュアです…
ナチュラルをうたっているとはいえ作りすぎている現代のメイクや過剰美容は、ちょっと見直されるべきなのでは、これからはこういう美しさが求められるのでは、と一瞬思った次第です…。
ちなみに劇中の挿入歌、切なくていいですね。作曲は大林監督ご自身らしいですよ。
もちろん、舞台の尾道も、素晴らしい。
さて、本題、
着物姿についてお話しします。
映画の中で、
着物姿が何度か出てきました。まず、主人公の友人のお母さん。
お太鼓をヒモで押さえる姿はお馴染みですね。
そして、
この映画で最も私が衝撃を受けた着物姿はこちらです。
右のおばあさんです。未来に帰ってしまった青年が一時滞在していたお家の老夫婦。
みなさん、なにか気づきませんか?
着付けが、ちょっと、くしゃくしゃだと思いませんか?
映画とはいえ、妙に「しわ」が多いのです。
たとえ、時代劇で出てくる老女でも、これほどくしゃくしゃな着付けはしません。ましてや、今のNHKの大河ドラマでも、お武家の方々はもとより町人も農村の人々もしっかり着付けられています。布のすたれ具合はあるとしても着付けはしっかりされているのです。
で、この着付け姿を見て、
ちょっとショックでした。
あれ…
本来は
着物って、こういう風に着てもいいものなんじゃないの…?
そう思ったのです。。。
このシーンのおばあさんは、お孫さんが亡くなって傷心の気持ちをお爺さんと語り合う場面ですが、その傷心さを着付けにも表現されたとしても(それはそれで大林監督の素晴らしい演出だと思いました)、それにしても、くしゃくしゃに着付けられています。
あぁ…
着物って、こういうもんなんだ、
しっかりきっかり、しわなし着付けを求めすぎなくてもいいんだ、
普段着る着物は本来こういうものなんだ、と
少し衝撃を受けたわけであります。
なんと言ったらよいのでしょう…
今は着付け学院も着付け教室もたくさんあり、みんなしっかり教えているんですね、着付けを。
そして、教えてもらった方は、一律「しわのないきれいな着付け姿」という呪縛にがんじがらめになっている。
完璧な着付け。
完璧な着付け…?
なんだか、窮屈で、表情のない着付けに思えてきたりしました。
その人らしい、その人の個性が出る着付け、
それを、今、大切にするべきなのではないかなと、
故大林監督の映画を観て、考えた私であります。
映画を観た後、
いろんなことを考えました。
こういった意味でも、
この映画は、本当に素晴らしい映画でした。
現代の人が忘れてしまったセンスや美が、表現されていました。
数十年前の映画や芸術作品から学ぶことは、まだまだたくさんありますね。☺
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